今回ご紹介したい小説は、木内一裕さんの「小麦の法廷」です。
めちゃくちゃ面白い。
極上のエンターテイメント小説です。
主人公は新人弁護士・杉浦小麦、25歳。
まだ弁護士経験もほとんどなく、法廷に立ったことすら無い。
そのうえ弁護士事務所に所属しているわけでも、法テラスのスタッフ弁護士でもない。
俗にケータイ弁護士と呼ばれるフリーランサーの一人だった。
学生時代はレスリングのオリンピック候補と呼ばれていた可愛らしい弁護士だ。
そんな小麦が初めて経験することになった刑事事件は、
取るに足らない仲間内での傷害事件。
しかも国選弁護士としてなので、報酬は8万円程度。
1日で公判が終わるような簡単な案件だと思っていた・・・しかし・・
被疑者との面会を終えて、拘置所を出た小麦を待ち構えていたのは大勢のマスコミ!
凶器のように向けられるマイクと、稲妻のように光るカメラのフラッシュ!
こんなに注目されるのはレスリングの時以来では・・!?なんて感想はさておき、
マスコミからは「あなたは殺人犯のアリバイ作りに加担するんですか!?」。
・・・は!?なになになに!?なんなの!?
小麦が初めて引き受けた他愛のない傷害事件の国選弁護の案件は、
やがて世間が注目する大事件へと変貌する!?
周りはすべて敵!?
相手は法律を知り尽くし、抜け穴をすり抜ける大悪党たち。
警察も敵?検察も敵?目撃者も敵?なんなら小麦が守る被害者まで敵!?
なのに、なぜ小麦は戦う?なんのため?
私は私の正義のために・・
小麦は小麦として弁護士にしかできない戦いをする。
感想
本当に面白いです。
今回は新米弁護士が主人公です。
法律がテーマのミステリー的な少し大人しい小説かな?と思ったのですが。
ここはやはり木内一裕先生。
全開フルスロットルでした(笑)
25歳の新米弁護士・杉浦小麦が挑む相手は、
硝煙の匂いが染みついた裏社会のプロたち。
しかも法律を知り尽くし、その穴をすり抜ける狡猾さを持ち合わせた悪党。
人探しから始まり、相続問題、そして傷害事件からの裏社会の抗争へ。
そんな奴らに、レスリングで鍛えたガッツと若さで立ち向かっていきます。
難しいことは抜きの、極上エンターテイメント小説です。
熱く笑えて泣けて震撼して、喜怒哀楽がびっしり詰まった小説です。
あんなシーンやこんなシーン、文字媒体なのに映像が私の脳に刻まれています。
木内一裕作品はいつもなのですが、セリフが軽快で大好きです。
会話のテンポが良くて、言葉のセンスがとんでもなく良いんです。
「弁護士・杉浦小麦」、シリーズ化希望です!
ほんと木内作品は面白い!