※プロモーションを含みます。
Slipknotが新たな次元へと踏み出した。
「The End,So Far」は、単なる終わりではなく、新たな可能性の序章だ。
少し前に発売されたアルバムだが、
今更ながら初聴して衝撃を受けてしまったので紹介したい。
◆進化し続ける”終焉”
Slipknotは、圧倒的な破壊力を誇るヘヴィサウンドと、
緻密に構築されたカオティックな世界観で知られるバンドだ。
1999年のデビュー以来、彼らは常に進化を続けてきた。
「The End,So Far」は、そんな彼らの最新作にして、
まさに"終焉"と"再生"が共存する異次元の一枚。
本作は、前作「We Are Not Your Kind」からさらに深化し、
Slipknotの持つヘヴィネスとメロディアスな側面が極限まで研ぎ澄まされている。
バンドのフロントマン、コリィ・テイラーの圧倒的な表現力と、
9人のメンバーが織りなす混沌とした音の洪水が、
一つの芸実作品として完成しているのだ。
◆全12曲レビュー
1.Adderall
~静寂が誘う不穏な幕開け~
アルバムのイントロとしては異例とも言えるアンビエントな楽曲。
RadioheadやNine Inch Nailsを思わせるダークでメロウなサウンドが、
Slipknotの新たな領域を予感させる。
まるで夢の中を彷徨うような浮遊感があるが、
その裏には確かな狂気が潜んでいる。
2.The Dying Song(Time to Sing)
~絶叫と暴虐の覚醒~
静寂を突き破るように炸裂する攻撃的なナンバー。
強烈なギターリフと、コリィのシャウトが畳みかける。
イントロから一気に爆発する展開はまさにSlipknotの真骨頂。
3.The Chareltown Rag
~混沌と狂気の乱舞~
スピード感あふれるリフワークと、
ノイジーなインダストリアルサウンドが絶妙に絡み合う。
歌詞も社会への怒りを露わにし、Slipknotらしい攻撃性を前面に押し出した一曲。
破壊力抜群。
4.Yen
~妖艶かつ中毒性のあるメロディ~
Slipknotの持つメロディアスな側面を象徴する楽曲。
ダークで神秘的な雰囲気が漂い、
コリィのクリーンボーカルとシャウトが見事に融合している。
静と動のバランスが秀逸で、リスナーを引き付ける魅力に溢れている。
5.Hive Mind
~混沌と秩序が交錯する音の実験~
変拍子とプログレッシブな展開が特徴的な、技巧派の一曲。
ヘヴィなグルーヴと攻撃的なギターが印象的で、
バンドのテクニカルな側面が際立つ。
まるで暗黒の迷宮を彷徨うような感覚に陥る。
6.Warranty
~ブチギレたエネルギーの暴走~
初期のSlipknotを彷彿とさせるシンプルながらも激烈な楽曲。
スピーディなリズムと強烈なブレイクダウンが襲い掛かり、
聴いているだけでアドレナリンが爆発する。
7.Medicine for the Dead
~静かなる狂気とヘヴィネス~
不穏なイントロから始まり、徐々にヘヴィなグルーヴへと突入する。
Slipknotの持つシアトリカルな要素が強調されており、
サウンドスケープの広がりが秀逸。
物語性のある楽曲構成が光る。
8.Acidic
~グルーヴィなダーク・ブルース~
Slipknotにしては珍しいブルージーなギターリフが印象的な一曲。
スローテンポながらも、重厚なサウンドが圧倒的な存在感を放つ。
じわじわと心を蝕むようなサイケデリックな雰囲気もあり、新鮮な魅力を感じる。
9.Heirloom
~コリィ・テイラーのエモーショナルな一面~
感傷的なメロディが特徴的なミッドテンポの楽曲。
激しさの中にも美しさが際立ち、
Slipknotの中でも比較的聴きやすい部類に入る楽曲だ。
歌詞の内容もパーソナルで、コリィの表現力が際立つ。
10.H377
~地獄の門が開く激烈ナンバー~
インダストリアル要素とハードコアパンクのスピード感が融合した、
アルバムの中でも特に攻撃的な楽曲。
凶暴なリフと怒りに満ちたボーカルが炸裂し、リスナーを容赦なく叩きつける。
11.De Sade
~美しさと狂気の極致~
「変態的な美しさ」と表現するのがふさわしい一曲。
プログレッシブな展開と、サイケデリックな展開と、
サイケデリックな音像が融合し、幻想的な世界観を作り上げている。
Slipknotの音楽的な多様性が存分に発揮された楽曲だ。
12.Finale
~すべてを包み込む壮大な終焉~
ラストを飾るにふさわしい、壮大なバラードナンバー。
オーケストラのようなアレンジが施され、
まるで映画のエンディングのような感動をもたらす。
まさに「終わり」と「新たな始まり」を象徴する楽曲だ。
◆「The End,So Far」は本当に”終わり"なのか?
本作はSlipknotがRoadrunner Recordsを離れる最後のアルバムという意味でも"終焉"を象徴する。
しかし、聴き終えた後に感じるのは、むしろ"これからの始まり"だ。
彼らはこの作品をもって一つの時代を終え、
さらなる進化を遂げる準備を整えたのではないか?
Slipknotは常にリスナーの期待を裏切り、想像を超えてくるバンドだ。
「So End,So Far」は、その精神が凝縮された作品。
もし、あなたがSlipknotの真髄を知りたいなら、このアルバムは絶対外せない。
この壮絶な音楽体験を、ぜひあなた自身の耳で確かめてほしい。