テンジロウです。
2019年3月11日は俺にとって忘れられない日になった。
前回からの続きです。
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俺がトイレでつかの間のプライベートタイムを過ごしていると妻の携帯の着信音が聞こえた。
妻の携帯に何処からか電話が架かっているようだ。
何を話しているかは聞こえない。
程なくして妻がトイレのドアをノックしまくる。
俺「どうした?」
妻「長女から中学校に電話があったって!」
俺「なに!?本当に?てか、ちょっと待って、今お尻拭いて出るから」
ええい!シャワートイレの時間がもったいない!
俺は紙で拭くだけでトイレを出た。
もちろんパンツとズボンを上げて。
俺「で?長女は今どこにいるの?」
妻「どうも公衆電話からみたいでタンニン先生も『今どこにいる?近くに何が見える?』って聞いてくれたみたいだけど、『うーん』って電話が切れちゃったみたいなの、多分お金がなくなっちゃたんじゃないかな」
俺「とにかく高校の方に戻ろう、公衆電話がある場所検索してみて」
妻「うん、わかった」
俺達は車で自宅を飛び出した。
もう俺の気分は「あぶない刑事」だ。
アクセル全開は・・・あぶないから、まあ安全運転で。
スピンターンは・・・あぶないから、まあ安全運転で。
「しっかりつかまってろよ」とか言いながら・・・まあ安全運転で。
妻「公衆電話って結構あるよ」
俺「順番に見に行くしかないよ」
妻「何が見えるか答えられなかったって事は、周りに何もない所かもしれないね」
俺「周りをよく見ててくれよ、行くぜ!!」
完全に俺が柴田恭平になりきっていた高校から1.6km地点で
妻「あーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!長女いたーーーーーー!!!」
俺「どこ?どこ?」
妻の向いている方を見ても、リュックを背負ったおじさんしかいない・・・
と思ったがリュックのおじさんの後ろに・・・いたあああああああああああああ!!長女おおおおおおおおおおおお!!!!
妻「止めて止めて!降ろして!」
車を止めると、即座に降りた妻は走って長女に駆け寄っていった。
妻「長女ーーーーーーー!!!!」
その妻の突然の叫び声にリュックのおじさんがビクッっとビックリしていたのを俺は見逃さなかったが、心の底から安堵した。
長女「おっすw・・・」
長女は目に涙を溜めて俺にそう言った。
長女の話はこうだった。
朝8時頃には、順調よく高校のバス停に着いたらしい。
バスの乗客もほとんどが受験生風であった。
バスを降り、皆歩きだす、長女の前には2人の受験生風の学生。
長女はやはり緊張していたのか、何も疑わずその学生2人の後ろを付いていったとの事。
だがその2人の学生が着いたのは長女が受験をする高校ではなかった。
もう周りを見回しても誰もいない。
バス停からは15分ぐらいは歩いたかもしれないとの事。
狼狽した長女はそこから引き返したつもりが、どこでどう間違えたのか道に迷い3時間近く彷徨い続けた。
途中、人に聞いたりもしたらしいが、またどこでどう間違えたのかたどり着けなかったという事らしい。
なんとか公衆電話をみつけ中学校に電話を架けるも、小銭が10円しかなく途中で切れてしまった。
俺「まぁしょうがねえよ、良い経験になっただろ、今日の事は早く笑い話にできるようにがんばれよ」
長女「うん、もう受験無理だよね」
妻「もう昼だし、無理だね、良いじゃん私立は1個受かってるし」
長女は私立に受かっていた、だが俺は長女が公立(この県立高校)に行きたがっていたのは知っていた。
妻が中学校に、長女が見つかった事を電話で報告した。
妻「中学校に報告に行こう」
俺達は言葉少なに中学校へ向かった。
中学校に到着したのは既にもう昼の12時頃だった。
俺達は校長室に通され、校長先生とタンニン先生と面談させてもらった。
長女から、事の顛末を先生方に説明する。
タンニン「そうか、大変だったな」
俺・妻「ご迷惑おかけして申し訳ありませんでした」
タンニン先生「いえいえ、ところでここからが本題ですが・・・追試受けますか?」
俺、妻、長女「!!!!???」
タンニン「校長先生が高校に『極度の緊張による体調不良』ということで掛け合ってくれて、12時55分までに入室すれば午後からの試験を受けれると、そして後日、追試をうけさせてもらえるという話になりました。
長女さん?受けますか?辞退しますか?」
なにいいい!!校長先生!!なんと男前!!!(校長先生、女だったけど)
実はこの校長先生、俺がかつて中学の3年6組に属していた時に別のクラスの担任をしていた先生であった。
向こうは気づいていないと思うが、俺は気づいていた。
30年近くの時を経て、まさか当時の別クラスの担任に娘が助けられるとは。
こんな奇跡のような話があるんだな。
タンニン先生「長女さん?どうする?」
長女「え~~~~?」
は?え~~~~って何?
妻「受けないの?」
長女「・・・」
受験をあきらめていた長女は、まさかのこの状況に戸惑っているようであった。
今さら高校に行くのも、注目の的になりそうで恥ずかしいという思いもあったのかもしれない。
分からないでもないが、こんなチャンスを逃す手はない。
それは長女も分かっているはず。
俺達が優しく背中を押してやれば決心できるのかもしれないと思ったその時。
妻が眼力にて超強力な無言のプレッシャーを発動。
それを背中どころか全身で感じた長女は
「う・・・受けたい」
妻さすが。
タンニン「あっあ・・そう、じゃあ今日印鑑ありますか?この書類に押してください」
妻「あります!押します!」
何故妻が偶然印鑑を持っていたのかは分からないが、まぁ奇跡ついでだ。
既に12時15分、急がねば間に合わない。
俺・妻・長女「ありがとうございます!!!」
校長先生「気を付けて、長女ちゃん、しっかりね」
長女「はい!」
長女のこの返事から最早迷いは感じなかった。
俺達は車まで全力疾走した。
心地よい全力疾走だった。
俺はこの日3人で走った事を多分一生忘れないだろう。
長女の笑顔。
みるみる俺達から遅れていく妻の鈍足。
俺達は駐車場から車で飛び出した。
「いくぜ!」
BGMはもちろん「あぶない刑事」。
「しっかりつかまってろよ」とか言いながら・・・まあ安全運転で。
数時間前のパニック状態から打って変わって、それはそれは軽快な走りであった。
中学校並びに高校の先生方には多大なご迷惑をおかけいたしました。
この場をお借りしてお詫び申し上げます。
誠に申し訳ありませんでした。
そして 本当にありがとうございました。
後日、長女は中学校の学年主任の先生から、こっぴどくお説教をいただきました。
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